経理DXが叫ばれている一方で、請求書受取や経費精算、勤怠管理、給与計算、承認業務など、実務の現場にはなお多くの手作業が残っている。そうした中、株式会社LayerXが展開する「バクラクシリーズ」は、AIエージェントを組み込みながら、会計ソフト連携やワークフロー、マスターデータ管理まで含めた一気通貫の設計で導入を広げている。
リアルタイム経営を見据えたその実態をTAX CONNECTIONの税理士・古尾谷が取材した。さらに、同社のパートナーとして顧客の経理DX支援を行うグロースリンク税理士法人の髙木様、花井様へ「バクラク」の導入事例や活用法、さらにバックオフィスを起点に企業成長を後押ししたいという思いについて伺った。

- 株式会社LayerX バクラク事業部 執行役員 CBO 鈴木 竜太様
- 株式会社LayerX パートナーアライアンス部 浦 亮介様
目次
「バクラク」が導く経理DX最前線
はじめに、鈴木様の役職や担当領域についてお話しいただけますか。
鈴木:現在はバクラク事業部で執行役員CBO(Chief Business Officer)を務めており、全社マーケティング部、パートナーアライアンス部、エンタープライズ部の3部門を管掌しています。
「バクラク」シリーズにはどのようなサービスがあるのか教えてください。
鈴木:まずBSM(支出管理)として、受け取った請求書を処理する「バクラク請求書受取」、経費を管理する「バクラク経費精算」、そして経費精算をより効率化する「バクラクビジネスカード」の3つがあります。
次にARM(債権管理)として、「バクラク請求書発行」と、発行後の入金確認・消込を行う「バクラク債権管理」があります。加えて、HCM(人的資本管理)として「バクラク勤怠」「バクラク給与」まで幅広くサービスを展開しています。

お金にまつわる業務に留まらず、勤怠や給与までカバーされているのですね。
鈴木:給与と勤怠は密接に関係しており、企業の費用の中でも人件費は大きな割合を占めています。そのため、一連の業務と繋いでいく形でサービスを展開しています。さらに、サービスを統合して費用データを分析する「バクラクインテリジェンス」も2026年1月にリリースしました。部門ごと・担当者ごと・取引先ごとなどに分けて、前月比や昨対比でお金の動きがどう変わっているかをデータ分析できるサービスです。3月にはヘルプデスクエージェントも提供開始し、カバー範囲を広げています。
「バクラク」シリーズの導入実績を教えてください。
鈴木:現在の導入社数は約1万5,000社で、まもなく2万社に到達する見込みです。継続率は99%と解約が非常に少なく、一度導入いただければ長く使い続けてもらえる点が大きな特徴です。
業種を問わず活用できるのでしょうか。
浦:主要な会計ソフトと一通り連携しているほか、業界特有の専門ソフトにも柔軟に対応できる点が、「バクラク」の強みです。企業規模が大きくなると、医療法人や社会福祉法人など、制度会計に対応した専門ソフトを利用しているケースが多く見られます。そこで、APIやCSVなど、それぞれのソフトに合わせた最適な形式で仕訳を連携できるようになっています。あえて自社で会計ソフトを持たない戦略をとっているからこそ実現できる柔軟性だと思います。
さまざまな会計環境に対応できるわけですね。「バクラク」シリーズは、お客様の状況に合わせて、必要なプロダクトから段階的に導入できるんですよね。
鈴木:はい。必要な機能から始められる点も、強みの一つです。ただ、「バクラク」はシリーズを通してAIエージェントを採用しているため、一気通貫でご利用いただいたほうが、業務の流れがよりシームレスにつながります。もちろん、必要な機能からも導入を進めていただけますが、全シリーズを活用いただくことで、より効果が実感できると思います。
「バクラク」では、AIをどのように業務フローに組み込んでいるのでしょうか。
鈴木:単にAIで書類をデータ化するだけでなく、その前後の体験を重視しています。OCR機能が多くのツールで一般化している今だからこそ、領収書の受け取り方や読み取り後の処理、明細単位か請求書1枚で読み込むかといった現場の細かなニーズもカバーしています。
メールの文脈まで解析「バクラク請求書受取」
具体的には、どのような場面でAIエージェントが自動で動いてくれるのでしょうか。
鈴木:「バクラク請求書受取」では、セキュリティの観点から、メールでURLが送られ、別送されたパスワードを入力してダウンロードする形式がよくありますが、こうした一連のやり取りの文脈もAIが読み取ることができます。先に届いたメール内のURLに、後から届いたパスワードを入力してデータを取得するといった判断まで、AIが自ら行います。
受け取りの段階から、AIが動いてくれるのですね。
鈴木:その上で、受け取った請求書の内容をAIエージェントが読み取り、次に仕訳を行うAIエージェントが処理を進めます。過去の仕訳データや企業ごとの処理傾向を学習しているため、取引先や勘定科目なども含めて、適切な処理を進めることができます。経理担当者は最終確認を行うだけで、データが自動的に反映されます。
不備を自動差し戻し「バクラク経費精算」
経費精算の場面では、AIエージェントはどう動いてくれるのでしょうか。
鈴木:「バクラク経費精算」も同様に、社内規定をAIに学習させることができます。例えばタクシー利用時の申請に行き先や目的の入力が必要な場合、不足項目を検知し、申請者に入力を促します。加えて、領収書の内容から内訳を判断し、タクシー代として自動で入力します。
不備の確認もAIエージェントが担ってくれるのは心強いですね。
鈴木:これまでは経理担当者が目視で確認し、漏れや誤りがあれば申請者に差し戻していたと思いますが、その手間がなくなります。経理担当者の心理的な負担が軽減されるだけでなく、上司に差し戻すといった気まずさも解消できる点が大きなポイントです。
承認ルートを自動判別「バクラク申請」
中堅企業以上になると、稟議や承認など、複雑なワークフローの運用が重要になってくると思います。その点はどのように対応しているのでしょうか。
鈴木:ベースとして「バクラク申請」というワークフローサービスがございます。まず、現状の社内規定や運用ルールを共有いただければ、それに即したAIをバクラクの中で構築します。そこへ領収書や請求書をアップロードすると、AIが文脈を理解して適切な承認ルートを判別し、承認直前まで処理を進めてくれます。最後は経理担当者が確認・承認するだけで、そのまま会計ソフトへデータが連携される仕組みです。
将来的には会社の組織図や権限者の設定、社内規定などを読み込ませることで、ワークフローを自動で作るシステムを視野にいれています。
ボタン一つで発行完了「バクラクビジネスカード」
「バクラクビジネスカード」には、どのような特長があるのでしょうか。
鈴木:プラスチック製の「リアルカード」と、クレジットカード番号のみを発行する「バーチャルカード」の2種類を発行できるのが特徴です。「リアルカード」は会食などオフラインでの利用を想定しており、「バーチャルカード」はECサイトでの決済など、番号だけで完結する場面に適しています。
この2種類は経理担当者が管理画面から発行できるため、複数のカードの手配もボタン一つで完了します。発行の際には、カードごとに利用上限金額や支払先を設定できるため、不正利用のリスクを大幅に抑えられます。セキュリティ面でも、カードは経理側で管理画面から一元管理できるため、万が一紛失した場合でも、すぐに利用停止の対応が可能です。

発行のしやすさは、とても魅力的ですね。
鈴木:さらに、使用する中で実感しやすいメリットが2つあります。1つ目は、決済の速報が即座に経理担当者へ届くことです。一般的な法人カードでは翌月に明細がまとめて届くため、締め作業が遅れることもありますが、ほぼリアルタイムで通知が届くため、「今月は請求が多い」「イレギュラーな使われ方をしていないか」といった状況をすぐに把握でき、管理がしやすくなります。
2つ目は、受け取った領収書を「バクラク経費精算」にアップロードするだけで、カードの利用データと自動で紐付けられる点です。こちらも承認直前まで自動で処理が進むため、担当者は承認するだけで処理が完結します。さらに、最大1%のキャッシュバックが受けられる点も魅力です。
支出の要因を深掘り「バクラクインテリジェンス」
新サービス「バクラクインテリジェンス」の具体的な機能について聞かせてください。
鈴木:「バクラク請求書受取」や「バクラク経費精算」で蓄積されたデータを活用し、費用の動きをわかりやすく可視化するサービスです。過去のデータと費用を比較し、どの費目が増減したのかを一目で把握できます。
例えば、修繕費や手数料が増えた一方で、広告費や外注費は減ったといった推移をスムーズに確認できます。大きな特徴は、ドリルダウン機能によって差異の要因を深掘りできる点です。科目別や部門別に絞り込みながら分析を進め、最終的には要因となった証憑までたどり着くことができます。

データの可視化から証憑確認までが一つのシステム内で完結するのは「バクラク」ならではの強みですね。
鈴木:一般的な会計ソフトでは、数字を確認した後に別のシステムを開いて請求書を探す必要がありますが、「バクラク」では関連データがシームレスに連携しています。さらに、AIが支出の差分を分析し、増減の要因を示してくれる点も特徴です。
浦:また、経費精算のデータまで確認できる点もポイントです。誰がどのような用途で経費を使ったのかといった情報まで把握できます。これは、一次情報である領収書や請求書を最初に取り込む設計になっているためです。
残業を事前に予測「バクラク勤怠」
「バクラク勤怠」の活用において、ユーザーから喜ばれているポイントを教えてください。
鈴木:1つ目は、残業時間を事前に把握できる点です。打刻のタイミングで、その月の残業見込み時間が表示されます。これまでの働き方や現在の勤務ペースをもとに、「このままのペースで働くと今月はこれくらいの残業時間になる」といったアラートが表示されます。
浦:従来の勤怠システムでは、申請が承認されて初めて残業時間が反映されます。一方、「バクラク勤怠」では、申請段階で見込み残業時間の把握ができます。
いち早く状況を把握できれば、現場のマネジメントも非常にスムーズになりますね。
鈴木:2つ目は、「AIシフト変換」機能です。各社で作成しているシフト表のExcelデータなどをアップロードすると、AIが「バクラク勤怠」の勤務予定のフォーマットに自動変換し、シフトに沿った形で打刻できるようになります。
浦:飲食業などでは、現在もExcelなどでシフト管理を行っているケースが多いです。データを取り込むことで、シフト内容と勤務時間を連動して管理できる点が特に喜ばれています。
検算もシステム内で完結「バクラク給与」
給与の領域では、どのようなサービスを提供されているのでしょうか。
浦:「バクラク給与」は、給与計算結果を確認するための検算システムが特徴で、給与データの増減などをシステム内でチェックできる仕様になっています。通常は、給与計算結果をCSVで出力し、別ツールなどで増減を確認する必要がありますが、「バクラク給与」ではそうした作業が不要です。利用している社労士さんからも、大変ご好評をいただいているサービスです。
AI主役の精算代行「バクラク承認代行」
「バクラク」シリーズによって、経理DXが大きく進展していきそうですね。
鈴木:おっしゃる通りです。一方で、なお手作業が残る部分もあります。その領域を補うプロダクトとして、経費精算の承認業務を代行する「バクラク承認代行」も展開しています。
AIによる自動チェックと専門オペレーターの確認を組み合わせた「AI-BPO」を基盤とした、AIファーストの代行サービスです。AIが主体となってチェック業務を担い、人による承認・差し戻しの判断や操作が必要な部分のみを弊社のオペレーターが代行します。
実務の代行にまで踏み込まれているのですね。
鈴木:AIが一次チェックを完結させた状態で人間が介在するため、全工程を人が担う必要がありません。これにより、対応工数を従来の2割程度に抑えることが可能となり、価格競争力も備えたサービスです。
意思決定の速度を最大化する「リアルタイム経営」
新たにどのような取り組みを進めているのか教えてください。
浦:経理の前段階における業務効率化を推進しています。具体的には、製造業などで発生する発注書・納品書・請求書の三点照合を自動化するプロダクトの投入です。請求書を受領した際に行う納品書との突合業務などは、既存のシステムだけでは完全な自動化が難しい状況でした。
こうした課題に対し、AIで新しい解決策を順次投入していく方針です。
今後の展望についてもお聞かせいただけますか。
鈴木:プロダクトは今後さらに拡充していく予定です。現在は9つですが、将来的にはさらに増え続ける見込みです。
私たちが重視しているのが「リアルタイム経営」です。日々の経営数値をタイムリーに把握し、意思決定のスピードを上げることを指しています。従来、経営判断に必要な数値の把握には数日以上かかることも多く、その遅れが経営スピードのボトルネックになっています。バクラクでは締め処理をはじめとするバックオフィス業務全体をAIで自動化することで、この課題を解消します。
それは、具体的にどのような仕組みで実現するのでしょうか。
鈴木:締め作業に必要な業務をすべて洗い出し、AIエージェントで自動化していけば、ひとつのデータが入ってきたら、その後の処理は締めまで自動で流れる仕組みを実現できます。対象は支払い申請や広告宣伝費の処理にとどまらず、関連する契約書の管理まで多岐にわたります。
それが当たり前になれば、経理の業務スタイルそのものが劇的に変化しそうですね。
鈴木:現在は全工程の約5割をAIエージェントが担っていますが、アップロード作業や承認操作など、手作業が残っています。
今後は自動化率を99%まで高め、最後の1%を人が確認・承認するだけで業務が締まる、実質的な自動運転に近い状態を目指しています。経理や経営者の方々が作業に追われるのではなく、戦略の策定や組織改善といった、本来あるべき「思考の時間」に専念できる環境を提供したいと考えています。
プロダクトが増えてくると、情報の管理も複雑になりそうですが、その点はどのように対応されているのでしょうか。
浦:「バクラク」シリーズでは、ワークフローを起点に従業員データベースの情報が各プロダクトに反映される設計になっています。そのため、経費精算・勤怠管理・給与計算などのデータも一元的に管理され、個別メンテナンスの負担を抑えられます。
鈴木:一般的なサービスではプロダクトごとにデータが分散し、組織変更のタイミングなどに各システムを個別にメンテナンスする必要が生じますが、「バクラク」ではそうした手間がありません。
会計事務所とのパートナーシップについても、今後の展望をお聞かせください。
鈴木:現在、約500事務所とパートナーとして協業していますが、今後はさらに一歩踏み込んだ連携を進めていきたいと考えています。地域密着型の事務所とは、地銀なども巻き込みながら、そのエリア全体のDXをどう盛り上げるかを共に考え、チームとして推進していきたいと考えています。
一方、全国規模の事務所とは、中堅以上の企業に関わるプロジェクトを共同で推進していく体制を整えていきます。こうした地域型とプロジェクト型の両軸で、今後のパートナー戦略を進めていく方針です。
経理代行の現場における「バクラク」活用
経理DX化は非常に難度が高く、会計事務所だけでは対応しきれないケースも多いですよね。
浦:はい。特に中堅以上の企業の経理DXは、単に会計ソフトを入れ替えれば済む話ではなく、業務フローの設計は非常に複雑です。そこで「バクラク」では、会計ソフトの領域は士業の方々にお任せしつつ、経費精算や請求書対応、基幹システムとの連携といった周辺領域は、弊社の専門担当が一緒に設計を進めています。難しい部分を任せられるという「運用負荷の軽さ」が、選ばれる理由の一つになっています。
会計事務所にとっても運用負荷が大きく減りそうですね。
浦:税務顧問を担当している方にとって、システム操作のような税務以外の問い合わせが頻繁に来るのは負担となってしまいます。その点、「バクラク」を導入したお客様からの問い合わせはほとんどありません。お客様自身が満足して使いこなしてくださるため、パートナーである士業側もシステムサポートに追われることなく本来の業務に専念できます。こうした好循環が生まれやすいことが、バクラクの大きな強みのひとつです。
ここからは、パートナーとして顧問先へのバクラク導入を推進されているグロースリンク税理士法人の髙木様、花井様にお話を伺います。まずは御社のグループ規模について教えてください。
髙木:現在、弊社グループは6拠点を展開しており、愛知県に2拠点、大阪と東京にそれぞれ2拠点ずつを構えています。グループ全体では約300名、グロースリンク税理士法人単体では約230名が在籍しています。
グループの構成を教えてください。
髙木:税理士法人を主体に、社労士法人、行政書士法人、司法書士法人を展開しています。加えて、保険代理店事業や不動産分野にも領域を広げており、現在はBPOのアウトソーシング部門も法人を立ち上げ、運営しています。
グロースリンク税理士法人の顧客層と、支援内容について聞かせてください。
髙木:個人事業主の方から年商500億円を超えるグループ企業まで、幅広いお客様を支援させていただいております。特に名古屋本社には医療分野に特化したチームを設けており、開業支援をはじめ、採用・育成、法人成り、M&Aまで対応しています。
税務会計の枠にとどまらず、その周辺領域も含めた支援が弊社の特徴です。立ち上げ期から成長段階、さらに事業承継まで、すべてワンストップで支援させていただいています。
バクラクのパートナーとして、導入支援を始めた経緯を教えてください。
髙木:BPO事業の立ち上げにあたり、先行して事業を始めていた他の会計事務所に情報収集を行った際に「バクラクさんがいいよ」という評判を聞いたことがきっかけです。当初は、グロースリンク内での活用を検討していましたが、LayerXさんと打ち合わせを重ねるうちに、ツールの豊富さと精度の高さを実感し、顧問先での活用イメージが具体的に見えてきました。
そこで、弊社内で活用するよりも、顧問先のお客様自身に導入いただくほうがメリットが大きいと判断し、方針を切り替えた経緯があります。
お客様の経理体制や運用には、どのような傾向や課題が見られますか。
髙木:医療分野では、8割ほどが経理代行です。医療のお客様は、経理や総務を担うバックオフィスを持たないケースも多く、代行のニーズが高いです。一方、一般企業では7割ほどが自計化しています。
ただ、自計化されているお客様でも、経理がアナログで紙中心であったり、属人化しているケースは少なくありません。そうしたお客様にこそバクラクのようなDXツールを積極的にご提案し、月次決算の早期化と経営判断のスピード向上につなげていきたいと考えています。
医療法人における導入事例

- グロースリンク税理士法人 BPOコンサルティング事業部 ミドルマネージャー 税理士 髙木 舞様
経理DXを進めるうえで、最初にご提案しやすいのはどの領域でしょうか。
髙木:やはり紙資料のデータ化と一元管理が着手しやすいと思います。紙が散在している状況を整理するだけでも、比較的早い段階で効果が実感できると思います。
請求書まわりは、データの受け取り方法も多様化しており、管理が難しくなっていますよね。
髙木:はい。まさにそこは、規模を問わず多くの経理現場に共通する課題です。請求書はメール・紙・ダウンロードと届き方もバラバラで、支払い方法も振込・口座振替と様々です。「バクラク請求書受取」は請求書の受領・集約にとどまらず、支払業務まで一気通貫で効率化できる点も便利で、非常に提案しやすいサービスです。FBデータを一括出力できる「振込データ出力」機能も、喜んでいただけるポイントの一つです。
紙のデジタル化に続いて、他にはどのような提案をされていますか。
髙木:月次決算をより早く、正確に行うために「AI明細仕訳」機能の活用を提案しています。従来の請求書受領システムは、請求書から支払金額のみを読み取る機能が中心でしたが、バクラクシリーズでは支払金額に紐づく明細までAI-OCRで読み取ることができます。
医療法人であれば薬品ごとの部門別・勘定科目別の明細、多店舗展開の企業であれば店舗別の仕入明細など、複数部門にまたがる明細を一括で読み取り、機械学習によって仕訳まで自動で起票できる仕組みです。部門別会計は成長企業には欠かせない一方、帳簿を作る側には複雑で負担の大きい作業です。分院を持つ医療法人や多店舗展開の飲食店など、部門別会計を行っているお客様には、もれなく導入をお勧めしています。
明細単位で仕訳まで自動化できるのは、実務上かなり大きいですね。
髙木:経理の現場では、部門ごとの仕訳作業に苦労されるケースが多く見られます。そうした処理をAI-OCRで早く、しかも正確に処理できる点は非常に大きいと感じています。「人にしかできない業務に集中し、明細処理のような部分はバクラクに全部お任せください」という形で提案をしています。
医療法人に特化した支援を進める中で、実際の導入事例や、その後の運用状況について聞かせてください。
花井:導入支援を行う医療法人は、比較的規模の大きなところが多いのですが、私が最初に導入を担当したのは、複数の産院を展開する医療法人でした。分院を展開している医療法人では、各拠点の管理者を親族が務めるケースが多いのですが、この法人ではすべての拠点で非親族の方が管理を担っていました。そのため、拠点ごとに個別対応が必要となり、経理を一元管理しにくい状況でした。
そうした体制の中で、どのような点が特に課題となっていたのでしょうか。
花井:主な課題は、振込業務の手間と経理業務のブラックボックス化でした。事務長が退職するたびに請求書の所在が不明になったり、担当者個人のメールと法人のメールに請求書が混在したりと、管理が煩雑になっていました。こうした課題を解決するために、バクラクを導入した目的は大きく3つあります。
1つ目は、経理業務の見える化と属人化の防止です。「バクラク請求書受取」の「支払金額レポート」や「受取状況レポート」機能で取引先ごとの支払金額の推移や請求書の受取・処理状況を可視化し、同時に本部経理のマニュアル作成も進めています。
2つ目は業務効率化です。愛知県内に3拠点あるため、拠点間での資料受け渡しにも大きな手間がかかっていました。従来は請求書の受領からダウンロード・印刷、ネットバンキングへの1件ずつの手入力、スキャン・アップロードまで全て手作業でしたが、バクラクの導入により一連のフローが効率化され、振込業務全体の大幅な時間短縮につながりました。
3つ目は、月次決算の早期化です。現在は翌月報告という形で、例えば3月分の月次を4月にご報告するという流れで進めています。月次を早期化するうえで、スムーズな資料の受け渡しが最も重要なポイントになります。バクラクにより、ブラックボックス化の解消や業務効率化と合わせて、月次決算の早期化にも繋げられると判断し、導入を決めました。
単なる効率化にとどまらず、経理の業務フローそのものを整えていけるのですね。
花井:従来の記帳代行は資料受領後の処理が中心となりますが、バクラクは記帳そのものではなく、その前段階にある経理の工程を整備・効率化するサービスです。そのため、お客様の社内業務の効率化に直結していると感じます。

- グロースリンク税理士法人 BPOコンサルティング事業部 マネージャー 花井 志帆様
グロースリンクのバックオフィス支援
税務顧問や経理BPO支援とバクラクを、どのように組み合わせて提案していますか。
髙木:グロースリンクという社名のとおり、私たちは自社の成長だけでなく、お客様の成長にもコミットしたいと考えています。
経理DXやバックオフィス支援は、業務効率化はもちろんですが、分院展開や多店舗展開といったお客様のその先の成長につながる取り組みだと捉えています。バックオフィスが弱いと、事業を加速させたい場面でも足踏みしてしまいます。企業のビジョンや将来の方向性を踏まえ、バックオフィスの整備を通じて支援していきたいと考えています。
企業成長において、バックオフィスの整備が欠かせないということですね。
髙木:効率化やDX、ペーパーレス化は前提になりますが、同時に会計・経理担当者のITリテラシー向上も重要だと考えています。また、社内で担う必要のない業務は外部に委託したいというお客様には、業務の一部をアウトソーシングする支援も行っています。
一方で、社内機能を強化したいというお客様には、コンサルティングを通じて業務改善に関わっています。いずれの場合も、お客様の企業全体の成長に貢献できるよう、それぞれの状況に合わせた支援をしていきたいと考えています。
そうした取り組みを支えている、グロースリンクさんの強みはどこにあると感じますか。
浦:グロースリンクさんの特徴は、目的と手段を明確に切り分けている点にあると感じています。業務効率化やAI・DXを目的とするのではなく、お客様の成長を実現するための手段として位置づけている点が印象的です。
医療法人支援や財務コンサルティング、M&A支援、管理会計、部門別会計の制度設計といったフロントサービスが充実しており、お客様の成長の方向性を踏まえたうえで、DXや月次決算の早期化に取り組まれています。バクラクの活用もその手段の一つです。目的と手段を取り違えることなく支援を組み立てている点が、大きな特徴だと思います。
また、グロースリンクさんの最大の強みは、税務サービスをしっかりと提供されている点です。まず、税務という基盤を凡事徹底で固めたうえで、M&Aや医療分野の支援にも取り組まれている。その姿勢があるからこそお客様からの信頼が生まれ、経理DXの提案にも自然につながっていくのだと思います。
最後に、パートナーとして導入支援を行うメリットを教えてください。
髙木:弊社が主導して導入支援を行えるため、お客様にも直接浸透しやすいと感じています。また、お客様との継続的な関係を築けることも大きなメリットです。お客様の成長フェーズに合わせて追加のプロダクト導入なども進められるため、長期的な支援がしやすい環境が整っています。
導入支援を通じて、お客様の現場でどんな変化を感じていますか?
髙木:現場に入る中で感じるのは、成長志向の経営者が多い一方で、経理担当者が疲弊している企業が多いということです。そうした状況に対して、私たちのノウハウやバクラクシリーズを活用することで負担を軽減し、より精度の高い業務に集中していただける環境を整えたいと考えています。税理士法人として経営者に伴走するだけでなく、企業を支えるバックオフィスの方々にも、より良い支援を届けていきたいと考えています。
参加者プロフィール
- 鈴木 竜太様
- 株式会社LayerX バクラク事業部 執行役員 CBO
2004年、情報・通信事業会社でキャリアをスタート。2011年に起業し、取締役CSO(戦略責任者)として経営全般を担う。2016年にセーフィー株式会社へ営業部長として入社し、のちに執行役員 営業副本部長 兼 VPoSとしてセールスやマーケティング領域に従事。2024年に株式会社LayerXへ入社。現在はバクラク事業部の執行役員CBOとして、マーケティング部、パートナーアライアンス部、エンタープライズ部を管掌する。 - 浦 亮介様
- 株式会社LayerX パートナーアライアンス部
2008年、専門商社に新卒入社。国内エンタープライズ向け営業などを経験後、友人の会計士とともに税理士事務所を東京で起業。営業責任者として顧客開拓から組織運営まで幅広く担う。2020年に大手税理士法人に入社。補助金支援、MA支援、クラウド会計を活用したDX事業全般に従事。2024年に株式会社LayerXへ入社し、現在はバクラク事業部のパートナーアライアンス部の士業グループマネージャーを担当。 - 髙木 舞様
- グロースリンク税理士法人 BPOコンサルティング事業部 ミドルマネージャー 税理士
2014年税理士登録。2022年にグロースリンク税理士法人に入社し、医療チームのプレイングマネージャーおよび新卒育成担当を兼任。2025年、BPOコンサルティング事業部を立ち上げ、現在は成長企業のバックオフィス構築・最適化を統括。税務の枠を超え、企業の「攻め」を支える柔軟なBPOソリューションを追求している。 - 花井 志帆様
- グロースリンク税理士法人 BPOコンサルティング事業部 マネージャー
2019年に新卒入社後、医療分野特化のコンサルタントとして、個人クリニックから多院展開する医療法人まで幅広く支援。2025年、BPOコンサルティング事業部の立ち上げに参画。現在は後輩育成に注力しつつ、現場で培った知見を活かし、企業のバックオフィス最適化を牽引している。
企業情報
- 項目
- 詳細
- 企業名
- 株式会社LayerX
- 所在地
- 東京都中央区築地1-13-1 銀座松竹スクエア 5階
- 事業内容
- 経費精算・請求書受取・請求書発行・債権管理・勤怠・給与を一気通貫でカバーする「バクラクシリーズ」の開発・提供。AIエージェントを組み込んだ経理DXサービス
- 導入実績
- 約15,000社(継続率99%)















