会社設立を税理士に依頼するメリット
2025/04/15

- 会社設立を税理士に依頼するメリット
- 依頼をするタイミング
- 税理士報酬の相場
会社設立をするには、多くの書類の作成や複雑な手続きをしなければなりません。税理士に会社設立を依頼すれば、手間や時間を省き、節税対策も行うことができます。そのため、会社設立を税理士に依頼することをおすすめします。会社設立を依頼するメリットやタイミング、費用などについて説明します。
設立前から依頼するメリット
会社設立をする前から税理士に依頼をすることで得られるメリットは多くあります。
会社設立すべきかのアドバイス
会社設立について、設立の前の段階で税理士に相談することができるのであれば、できる限りした方がいいといえます。
まず、税理士が会社設立をする必要があるのかを確認してくれます。
会社設立や個人事業主の法人化をすることで、節税ができ、経費とできる範囲も広がります。さらに、退職金制度を設けられることや赤字を最長10年繰り越せることなどのメリットがいくつかあります。
しかし、会社設立や個人事業主の法人化をするためには時間やお金がかかります。また、社会保険の加入義務が生じたり、赤字となった場合でも法人住民税の均等割がかかったり、経理作業が難しく、多くなったりとデメリットもあります。
そのため、メリット・デメリットと現状を考慮した上で、会社設立や個人事業主の法人化をすべきなのかを税理士からの目線でアドバイスしてくれます。
補助金・助成金や創業融資のサポート
会社設立の際に、受けられる補助金・助成金や創業融資がある可能性があります。
補助金・助成金や創業融資を受けたい場合は、税理士に相談することをおすすめします。また、受ける際の必要書類の作成・提出のサポートも期待できます。
設立の際の書類作成・手続きを任せられる
会社設立時には、定款の作成・認証や税金関係の書類作成・届出などの手続きがあり複雑です。
税理士に依頼すれば期限内に提出することができ、会社設立の手続きを完了させられるため安心です。
他の士業と連携・代行
税理士は税務について任せることができ、経営のアドバイスをするなど経営者にとって大切なビジネスパートナーかと思います。
しかし、会社設立をするにあたり法律上、税理士にはできない業務があります。
会社設立で必ず行う設立登記は、司法書士のみが行えます。他にも、許認可が必要な場合は、行政書士へ依頼しなければなりません。
税理士の多くは、他の士業との連携があります。そのため、連携のある税理士に依頼をし、申請まですべてを代行してもらうことでスムーズに手続きを終えることができます。
最適な設立時期を決められる
設立の時期によって、消費税の納め始めが変わります。
消費税は会社設立から2期間は売上に関係なく免税となります。設立初年度に売上が1千万円を超えると、設立3年目から消費税課税事業者となり消費税が課税されます。
注意しなければならないのが、消費税の課税事業者の判定には「特定期間による判定」です。
資本金が1,000万円以上で、事業開始から上半期の課税売上高が1,000万円超・人件費(給与の支払額など)が1,000万円超・設立1期目が8カ月以上の条件に当てはまる場合、設立2年目から消費税課税事業者となってしまいます。
つまり、この条件に当てはまる可能性がある場合、決算期を設立から7ヶ月以内にすれば、2年目に消費税課税事業者になることを避けられます。
このように設立の時期も後の納める税金にかかわるため、税理士に相談することをおすすめします。
決算期のアドバイス
決算期は納税額に影響を与えるため、しっかりと考えた上で決定をします。設立から1年以内であれば自由に決められますが、一度決めてしまうと変更するのが難しいため注意が必要です。
多くの場合、繁忙期から2か月前を目安にしています。繫忙期に決算業務を行わなくてよいため、本業に集中することができます。また、利益予想・経費の調整がしやすく、節税に繋がりやすいです。
会社設立の前に税理士に相談することでより最適な決算期を決めることができます。
資本金額・役員報酬額の設定のアドバイス
会社設立の際に資本金を決めます。資本金は1円から設定可能です。しかし、資本金の額が適切に設定されていない場合、社会から信用をしてもらえないこともあるため、適切な金額を決めることが重要です。
さらに、資本金の額により、税率や消費税の課税対象かどうかが変わります。そのため、税理士と相談し、慎重に決める必要があります。
また、役員報酬も自由に決められますが、金額により納める税金の額が変わります。税理士に相談して決めることで、節税を期待できます。
反対に上手に設定しないと、法人税や所得税、社会保険料の総額が増えてしまうこともあります。
税理士に相談することで、設立後の税金の負担を減らしましょう。
会社設立時の節税対策
会社設立時には、創立費と開業費がかかり、多くの費用を要します。
創立費とは会社設立準備にかかる費用で、開業費とは会社設立から事業開始までにかかる費用のことです。どちらも同時にかかるケースが多いです。
また、これらの費用は経費として計上することができるので、領収証の保管をしてください。
税理士に会社設立時の費用の計算を行ってもらうことで、より効果的で適切な節税対策を行うことができます。
法人形態についてのアドバイス
法人形態には株式会社、合同会社、合資会社、合同会社の4つの種類があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、税理士に相談し、ご自身に合うものを選ぶようにしてください。
登記事項の確認
会社を設立する際に設立登記は義務付けられているため必ず行わなければならなりません。
設立登記は変更することが可能ですが、1か所の変更に登録免許税3万円がかかります。また、司法書士に変更を依頼した場合は司法書士の手数料(相場は5万円)がかかります。
余分なコストや変更のための書類作成・提出に手間を省くためにも、税理士に内容を確認してもらった上で設立登記をすることをおすすめします。
経理についての指導
会社を設立することで、複雑な経理に悩まされることがあります。
税理士にその悩みを相談することで、経理についてアドバイスや指導を受けることができます。
税理士は、その会社に合った経理や会計処理、税務処理を指導し、資金繰り等の経営のアドバイスもしてくれます。
設立後に税理士に依頼するメリット
会社を設立後に税理士に依頼するメリットを紹介します。
各申請の手続き・書類作成の代行
会社設立後にも、法人設立届出書や給与支払事務所等の開設届出書などの書類作成・提出が必要です。
税理士に依頼をすると全てを把握した上で行ってもらえるため、安心です。
資金繰り・資金調達などの経営アドバイス
会社設立後の資金繰り・資金調達など経営に関するアドバイスを受けることができます。
会社を設立して間もない場合、経営に関する知識がなく不安に思うことも多いかと思います。
そのような場合でも、税理士に依頼していればアドバイスを受けることができ、不安が軽くなります。
経理・会計処理や税務処理のサポート
会社設立後に税理士に依頼した場合にも、経理・会計処理や税務処理のサポートを受けられます。
設立後すぐは、経理業務に慣れていない経営者が行うことも多く時間や手間がかかります。
そのような場合に、税理士が丁寧に説明してくれるため心配がいりません。
記帳業務を依頼
会社設立後に行わなくてはならない事務作業は多く、本業に手が回らなくなってしまうケースもあります。
特に記帳業務は細かな業務ではありますが、毎日行わなくてはならず、慣れていない方が行うには時間がかかります。
創業間もない時期は資金を可能な限り、残しておくべきであり、経理担当を雇用する余裕がないと思います。
税理士に依頼する場合、経理担当者を雇うより低コストで依頼することができます。
本業により力を入れたい期間に税理士に依頼できることは大きなメリットです。
税理士に依頼するデメリット
税理士に依頼するメリットは多くありますが、デメリットもあります。
税理士報酬がかかる
税理士に依頼することで税理士報酬の負担があります。税理士報酬は、決して安いとはいえません。税理士に依頼することのメリットと税理士報酬の負担を比較して、税理士への依頼が必要かどうか検討してください。
税理士探しに時間と手間がかかる
税理士はすぐに変更するものではなく、ある程度の期間契約を結ぶこととなるケースが多いです。また、税理士変更をする場合は、新たな税理士を探すことや手続きに手間と時間がかかります。そのため、できる限りはじめから満足のいく税理士に依頼したいものです。
しかし、税理士を見るポイントや相場等が分からない状態である場合、税理士を探すことは困難と考えられます。
そのような場合は、税理士サーチの活用をおすすめします。税理士サーチでは、会社設立・創業支援に強い税理士を多数掲載しています。ぜひ、ご活用ください。
設立前に決めたことの変更は簡単にできない
設立前に決めた決算期や役員報酬を変更することは容易にできません。
変更のタイミングは決まっています。また、変更をすることで損をする可能性が大きいです。
もし変更の必要がでてきてしまったら、速やかに税理士へ相談しましょう。
税理士の顧問料の相場
会社設立を税理士に依頼した場合の費用の相場について説明します。
会社設立にかかる費用
税理士へ依頼しなくても、会社設立をするのにかかる費用があります。

税理士へ依頼した場合の費用
税理士に依頼をした場合の費用相場は以下になります。

定款認証の手続きは電子でも行うことができます(電子認証)。
電子認証の場合、定款印紙代がかからないため、0円としている事務所も多く、相場は2万円くらいとなります。
また、自身で電子認証を行うことも可能ですが、事前の手続きや費用、専用ICカードリーダーがないと行えないため、利用することは難しいです。
また、設立前の税理士報酬の相場は3万円~5万円です。
設立後の顧問契約締結を期待している税理士の場合、無料としていることが多いです。
会社設立登記は司法書士への依頼が必要となるため、税理士とは別で料金がかかります。
司法書士と連携している税理士へ依頼した場合、この司法書士にかかる料金が無料となることも少なくありません。
ご自身で手続きを行う場合と比較しても、税理士に依頼する方が安くなる可能性は大いにあります。
後に、税理士と顧問契約やスポット契約などの契約を結ぶことを検討している場合は、設立前の段階から依頼することをおすすめします。
会社設立後の税理士費用
会社設立後に税理士と顧問契約を結ぶ際の税理士報酬は月1万円~3万円が目安です。
しかし、税理士報酬は年間利益や従業員の数、記帳代行・給与計算等の依頼をするかにより変わるため、依頼先の事務所に確認をしてください。
スポット契約の場合
税理士費用を少しでも抑えたい場合は、スポット契約を結ぶこともおすすめです。
スポット契約とは、記帳代行や決算申告書などの申告書作成の業務が発生した場合に、単発でその業務のみを税理士に依頼することです。
スポット契約の相場は以下になります。

税理士の選び方
会社設立を依頼する税理士を選ぶ時に確認すべきポイントを紹介します。
自社の業界・業種に詳しいか
設立する会社の業界・業種に詳しい税理士かどうかは重要です。
各業界・業種ごとに税法・税制が異なることがあります。
そのため、自社の業界・業種に詳しい税理士でない場合、的確なアドバイスが受けられなかったり、できたはずの節税が行えていなかったりと期待外れの結果となる可能性が高いです。
事前に事務所のホームページ等でその税理士の得意とする業界・業種を確認するようにしてください。記載がない場合も電話や面談等で聞いておくようにしましょう。
料金が明瞭
税理士報酬の決め方は事務所ごとにそれぞれです。
報酬額とサービス内容が納得のいくものなのか検討してください。
また、基本報酬が安い場合には必要なサービスは加算報酬としてされていることもあります。
契約をする前にトータルでいくら位になりそうかを確認してください。
サービス内容
依頼したいサービスに対応している税理士を選ぶ必要があります。
契約したものの、依頼したいサービスの対応をしていない場合自身で行うしかなくなってしまいます。
ホームページや事前の面談で確認するようにしてください。
レスポンスの早さ
レスポンスが早いに越したことはありません。
緊急性の高い相談や確認事項があった際に、すぐに回答が必要です。
税理士選びの段階で、送ったメールや問い合わせがどのくらいの早さで返ってくるのかを確認してください。
相性がいいか
税理士を選ぶ上で重要なことは、税理士との相性です。
経営者にとって税理士はビジネスパートナーです。
税務に関することはもちろん、経営面での悩みがある場合に気兼ねなく相談ができると思える税理士を選ぶことをおすすめします。
税理士との相性が良くないと、話し合う機会が減り、顧問料を払っているにも関わらず、期待していたアドバイスを受けられないという事態に陥る可能性があります。
長年付き合っていくことになるため、相性にも重きを置いて検討してください。
経験・実績
会社設立や創業支援の経験・実績がある税理士がおすすめです。
税理士には得意分野・経験のない分野がそれぞれにあります。
そのため、会社設立や創業支援の経験・実績がある税理士に依頼することで、的確なアドバイスが期待できます。
デジタル対応しているか
デジタル化を推奨するDXに対応しているかも確認すべき事項です。
最新のクラウドツールの活用は、コスト削減や生産性の向上などのメリットがあります。
デジタル化を希望する場合は、デジタル化に対応している税理士を選ぶようにしてください。
税務調査に強いか
税務調査の対応ができるかどうかは重要です。
税務調査とは、税務署が申告された納税額が正しいかどうか確認をしに来ることです。
会社を経営していく中で、税務調査に入られる可能性があります。
税理士に依頼することで、問題のない申告書を提出することができます。また、税務調査に入られた際も、立会をしてもらえるため、安心して事業に取り組むことができます。
最新の税法・税制の知識
税法・税制は頻繁に改正がされます。そのため、最新の税法・税制を把握している税理士が良いといえます。
最新の税法・税制を把握していることで漏れのない節税対策ができるため、最大限の節税を行うことができます。
会社設立を依頼する税理士の探し方
会社設立を依頼する税理士を探す方法を紹介します。
知り合いからの紹介
知り合いの経営者や個人事業主から税理士を紹介してもらう方法があります。信用できる知り合いからの紹介のため、安心して依頼することができます。
しかし、自社の業界・業種に精通していない場合や相性が合わない可能性もあり、断りづらいというデメリットもあります。
実際に会って話を聞いてから依頼するようにしましょう。
インターネットで検索
インターネットで検索する方法はすぐに行うことができ、手軽さが魅力です。地域名や得意分野で検索することで、各事務所のホームページ等が確認できます。また、口コミ等で評判を確認することも可能です。
しかし、中には嘘や誇大に記載している事務所もあるため注意が必要です。手間や時間がかかりますが、事前にできる限りの情報を集めることをおすすめします。
税理士紹介サイトの利用
税理士紹介サイトでは、多くの税理士を掲載しています。そのため、条件を絞ることで、一度に複数の条件に合う税理士を調べることができます。比較して税理士を決めたい方におすすめです。
まとめ
会社設立は、設立前に税理士へ依頼することをおすすめします。会社設立には多くの書類作成や手続きがあり、税理士へ依頼することでミスなくスムーズに進めることができます。また、初めて税理士へ依頼する方が多いと思います。税理士選びに困った際は、ぜひ税理士サーチを活用してください。税理士サーチでは多数の税理士を掲載しています。また、税理士選びの相談にも対応しております。自社に合った税理士を選び、気持ちよく会社をスタートさせてください。