顧問税理士の選び方
2025/04/14

- 顧問税理士を選ぶポイント
- 顧問税理士の探し方
- 顧問契約を結ぶ前に確認事項
良い顧問税理士を選ぶことは、会社を営む上で大変重要なことです。選ぶ税理士によって経営アドバイスや節税対策、資金調達等の受けられるサービスが変わります。税理士選びは今後の事業の成長に大きくかかわるため慎重に行うべきです。顧問税理士を選ぶポイントをご紹介します。
顧問税理士の選び方
顧問税理士を選ぶ際に確認すべきポイントがいくつかあります。このポイントを確認して失敗や後悔のない顧問税理士選びにしてください。
性格や相性
税理士を選ぶ際に1番重要なことは、顧問税理士の性格やご自身との相性です。業務ができればいいと思う方もいるかもしれませんが、顧問税理士はビジネスパートナーとしての役割もあります。例えば、経営の相談に乗ることや、今後の事業展開や資金調達などの話し合いをします。そのため、長期的に良好な関係を築くことができるのか、相談や話し合いがしやすいのか、価値観が一致しているかなどを考慮する必要があります。性格や相性が合わない税理士と顧問契約を結んでしまうと、相談や話し合いが上手くいかず、顧問料を払い、必要最低限の業務を依頼するという状況になってしまいます。せっかく顧問料を支払うのであれば、しっかりとした経営アドバイスや資金調達についてのアドバイス、事業展開の相談など、会社にとって必要なサービスを受けられる税理士を選ぶべきです。少し手間ではありますが、実際に税理士と話し合い、税理士の性格や考え方、価値観を聞き、ご自身との相性や話しやすさなどを確認した上で顧問契約を結ぶようにしてください。また、可能であれば、他の税理士とも話し合いをし、その中でよりご自身と相性の良い税理士を選ぶことをおすすめします。
サービスの内容
税理士に依頼したいサービス内容は各会社で違うと思います。まずは、どのようなサービスを受けたいかを確認し、そのサービスが可能な税理士を選んでください。性格や相性が合うことはとても重要ではありますが、そもそも自社が求めるサービスの対応をしていなければ、顧問契約を結ぶ意味がありません。
税理士の得意分野
税理士には得意分野があります。医師が内科、外科、眼科などの専門分野を持つことと似ているといわれています。そのため、税理士と一言でいってもそれぞれに得意(経験が多い)分野と苦手な分野があります。税理士の得意分野の中に自社のニーズに合うものがあるかどうかを確認することは大切です。主な税理士の分野は以下になります。
法人や個人の税金の申告 | 所得税の申告・法人税の決算申告、年末調整、法定調書の作成、償却資産税など |
相続税や贈与税の対策・相続税申告 | 相続税に関する業務依頼 |
記帳指導・記帳代行 | 経理や記帳の指導や代行、給与計算 |
特定の業種に特化 | クリニック、建設業、美容院、カフェなどに特化 |
税務調査対応 | 税務調査の立ち会い |
経営管理・経営指導の相談できる | 経営管理、サポート |
創業支援・資金調達 | 創業支援、資金調達のサポート |
事業承継・M&A・IPOに特化 | 事業承継、M&A・IPOのサポート |
事務所の規模
税理士事務所には、多くのスタッフを抱える事務所もあれば、税理士1人の個人事務所まで多様です。
大きな税理士事務所であれば、幅広いニーズに対応してもらいやすくなります。また、万が一担当者が合わなかった場合や退職した場合も後任がつくため、税理士を再度探す手間や心配がないです。
一方で、個人事務所では、より税理士との距離が近く、相談がしやすいというメリットがあります。
どちらにもメリット・デメリットがあるため、顧問税理士に求める業務内容を考慮して検討してください。
税理士の経験・業界についての知識量
業界特有の習慣、決算処理の方法、法的規制などは重要です。自社の業界について知識を有する場合や過去に自社と同じ業界の会社の顧問経験がある場合は、安心して依頼しやすいです。知識や経験がある場合であれば、より的確なアドバイスやサポートが期待できます。
事前にホームページ等で顧問先や得意業種・分野等を確認しておきましょう。
報酬額
一般的に顧問税理士報酬は、毎月の顧問料に加え、決算申告などの申告料、記帳代行料など業務ごとに料金が設定されています。また、会社の規模や面談回数により税理士報酬は変動します。
サービス内容と税理士報酬が見合っているのかを考え、顧問契約の前に税理士報酬が最終的にいくらかかるのかを確認するようにしてください。
クラウド会計ソフトの対応
クラウド会計ソフトとは、オンラインで財務に関するデータを管理する会計ソフトのことです。クラウド会計ソフトを使うことで、リアルタイムで会計データを把握することができるため、近年多くの会社で活用されています。
クラウド会計ソフトに対応している税理士に閲覧権限や編集権限を渡すことで、リアルタイムで会計データを確認してもらい、的確なアドバイスをもらうことができます。また必要に応じて、帳簿の修正をしてもらうことも可能です。やり取りが簡易的に行うことができるため双方の負担を減らすことができ、コストの削減に繋がります。
クラウド会計ソフトを使用している場合は、自社が使用しているクラウド会計ソフトに対応している税理士を選んでください。
節税対策をしてもらえるか
税理士の中には、節税対策を行う税理士と節税にあまり積極的でない税理士がいます。節税対策を期待している場合は、事前に節税対策をしてほしい旨を税理士に伝え、反応を確認してみてください。具体的に節税対策について話が進むようであれば、問題ありませんが、あまり話が進まない場合は検討が必要です。
資金調達のノウハウがあるのか
上記で述べたように、資金調達を得意としている税理士と得意としていない税理士がいます。資金調達を検討している場合は、資金調達を得意としている税理士を選ぶ必要があります。資金調達を得意とする税理士の判断基準として2点あります。
金融機関での勤務経験がある
資金調達を得意としている税理士には、銀行などの金融機関で勤務経験がある場合が多いです。資金調達の審査基準を理解しているため、正確なアドバイスが受けられます。
ただ、このような税理士の他にも、資金調達を得意とする税理士が多数いるため、あくまで参考としてください。
経営革新等支援機関
経営革新等支援機関とは、経済産業省により、専門知識、実務経験が一定レベル以上あると認定された税理士や公認会計士、金融機関などです。
一部の融資や補助金・助成金で、申請時に「認定支援機関による計画書の確認」が必要となるため、認定されている税理士に依頼することでスムーズに進めることができます。
税理士の探し方
顧問税理士の探し方についてご紹介します。
知人から紹介
税理士を探す際に1番多いのが知人からの紹介です。知人からの紹介であれば、あらかじめ評判や実績を知ることができるため安心して依頼することができます。また、税理士を探す手間が省けることもメリットです。
ただ、注意したいのが、銀行や保険会社からの紹介の場合です。単純に良い税理士を紹介してくれることもありますが、利害関係で紹介する場合もあります。紹介されたからといって安易に契約を結ぶのは止めてください。実際にその税理士と話し、契約をするか判断すべきです。
ホームページ
インターネットで検索し、税理士事務所のホームページで確認する方法もあります。ホームページでは、その税理士の得意分野や過去の実績、考え方などを知ることができるためとても便利です。また、可能であればその税理士の評判をインターネットで検索し、確認しておくと安心です。
税理士会・商工会議所などの税務相談
税理士会や商工会議所で行われている税務相談で税理士を紹介してもらうことができます。メリットとしては、実際に会って、性格や相性を確認して依頼することができることです。一方で、一度に多くの税理士を紹介してもらうことができません。必ずしもニーズに合う税理士を紹介してもらえるとは限らないため、注意が必要です。
税理士紹介サイト
より多くの税理士を比較して、顧問契約を結ぶ税理士を決めたい方には、税理士紹介サイトの活用がおすすめです。税理士紹介サイトでは、条件を絞り、検索することで簡単に条件に合う税理士を調べることができます。また、評判や実績、口コミも確認できます。サイトによっては検索するだけでなく、相談窓口があり、そこで条件やニーズを考慮した上で税理士を選んで紹介してくれる場合もあります。ただ、サイトごとに質の良し悪しやご自身との相性があるので、一度利用してみて判断をしてください。
税理士を決める時の確認事項
税理士と顧問契約を結ぶ直前に確認しておきたいポイントが3つあります。
対面で話す
最近では、オンラインで対応してくれる税理士事務所も多くみられます。顧問契約を結んだ後の面談はオンラインでも問題ないかと思いますが、顧問契約を結ぶ際には、できる限り対面で話を聞いてください。
オンラインでも話を聞くことは可能ですが、その税理士の人柄や対応に関しては、対面でしか分からない部分もあるため、対面での話し合いをおすすめします。
遠方に住んでいる場合やそのほか直接会うことできない事情がある場合は、複数回面談をしたり、スポット契約を結んでみて対応を確認したりした上で、顧問契約を結ぶようにするなど、工夫してみてください。
年間の費用を確認
顧問契約を結ぶ際に年間で税理士に支払う報酬額を確認することは重要です。しっかりと何にいくらかかるのかが分かる事務所であれば、多少の変動はあるにしても、具体的な年間の税理士報酬額が分かります。確認することでお互いにとっていい契約を結ぶことができます。顧問契約を結ぶ段階になっても、税理士報酬額がはっきりと分からない場合は、後にトラブルになりかねません。例えば、税理士報酬の内訳や総額を伝えてくれない場合は、のちに何かと追加で報酬が発生することも想定されます。このような場合は今一度、信用ができる税理士なのかを考え、顧問契約を結ぶか否か再検討してください。
サービス内容の確認
サービス内容の最終確認を行うようにしてください。また、今後必要となる可能性があるサービスをあらかじめ確認し、そのサービスの対応に対応してくれるかも確認してください。対応してくれる税理士である場合であれば、のちに税理士変更を検討の必要がないため安心です。ただ、そのサービスが必要となるのがかなり先の場合や未定の場合もあるかと思います。その場合は、そのサービスに対応していない税理士と顧問契約を結ぶことも問題ないと考えられます。会社の成長や新たな事業展開の際に、顧問税理士を変更するケースは多くみられるためです。現段階で、顧問契約を結びたいと思う税理士であれば、顧問契約を結んでください。
税理士選びの注意点
顧問税理士を選ぶ中で注意すべきことをご紹介します。
いくつかの税理士を比較する
税理士のサービス、報酬、実績、対応はそれぞれです。1人の税理士だけと話して決めるよりもできる限り複数の税理士と話をして決めることで、それぞれの良い点・懸念点が見えてきます。その中でどの税理士にすべきか考えることができます。
紹介だからで選ばない
上記で知人からの紹介を税理士の探し方として紹介しました。もちろんメリットは大きいですが、実際に会ってみてご自身と合わないと感じる可能性もあります。
紹介者と自社が同じニーズを持っていれば、よほど相性が悪いといった場合以外では、その税理士でも問題ないことが多いです
しかし、ニーズが違えば、紹介された税理士が合わないこともあります。
ただ紹介してもらったからという理由で選ぶのではなく、自社のニーズと照らし合わせて確認する必要があります。
事務所の所在地で選ばない
地域によっては税理士が少なく、税理士選びの選択肢がないという場合もあります。税理士はいつでも相談できる方がいいと考え、所在地で選ばれることが多いです。しかし、本来税理士は自社の求めるサービスや話しやすさで選ぶべきです。
最近では、オンラインで面談や相談が可能なため、それらの活用を視野にいれて、近隣地域以外でも税理士を探し、比較検討することをおすすめします。
まとめ
顧問税理士を選ぶことは会社にとって重要なことです。どの税理士と顧問契約を結ぶかで会社の今後の成長に左右するといえます。一つの要素だけに重きを置いて、税理士を選ぶのではなく、サービス内容、実績、報酬額、性格や相性など多くのことを確認して選んでください。また、できる限り多くの税理士を比較して、総合的に自社のニーズを満たす税理士と顧問契約を結ぶことをおすすめします。税理士サーチでは、多数の税理士を掲載し、条件に応じて合う税理士を紹介しています。税理士探しをされる際は、ぜひご活用ください。一緒に自社のニーズ合う税理士をお探しします。