
税理士が顧問先企業の成長を支援する上で、業務効率化は重要な課題です。
適切なツールを導入することで、顧問先企業の生産性向上を支援し、ひいては税理士事務所自身の業務効率化にも繋がります。
しかし、業務効率化ツールは種類が多く、それぞれ機能や価格が異なるため、
どのツールを選べば良いか迷う税理士の方も多いのではないでしょうか?
本記事では、税理士におすすめの業務効率化ツールを比較し、それぞれの強みや選定ポイントを解説します。
最適なツールを見つけて、顧問先企業の成長、そして事務所の業務効率化を促進しましょう。
概要
業務効率化ツールは、税理士業務を効率化し、顧問先企業へのサービス品質向上に貢献します。
ツール導入によって生まれた時間を、より付加価値の高い業務に充てることで、顧客満足度向上に繋げられます。
主要な業務効率化ツール
企業名 | 特徴 | 手数料体系 | 得意な領域 |
---|---|---|---|
kintone | データベースとアプリ開発が簡単に行える | 月額制(1ユーザー:1,500円/月〜 ※初期費用あり) | 顧客管理、データ共有、案件進捗管理 |
mykomon | 顧客管理と業務効率化を支援 | 月額制(1会員アカウント:10,000円/月 ※利用範囲により) | 顧客情報管理、税理士向けCRM |
FLOW | 業務プロセスの自動化を支援 | 月額制(基本プラン:6,000円〜/月)、カスタマイズプランもあり | 税務・会計事務効率化 |
TKCクラウドサービス | 会計・税務業務の効率化を支援 | 月額制(プラン内容により異なるが、業務に特化した豊富な機能を提供) | 税務申告、会計データ入力 |
ZoooU | 税理士事務所向け業務マネジメントツール | 無料プランあり、月額制(スタンダードプラン:1,000円/月〜) | 税務業務進行管理、タスク共有 |
提供メリット
税理士事務所が業務効率化ツール提供会社と提携することで、顧問先企業へのサービス提供の幅を広げ、事務所の価値を高めることができます。
主なメリットは以下の通りです。
- 顧問先企業の業務効率化・生産性向上への貢献
- 付加価値の高いサービス提供による差別化
- 顧問先企業との関係強化
- 新規顧客獲得の促進
- 事務所の業務効率化
- 新たな収益源の確保
業務効率化ツールとの提携は、顧問先企業の成長支援、事務所の付加価値向上、そして新たな収益機会の創出といった多くのメリットをもたらします。
時代に合わせて進化し続けることで、税理士事務所は更なる発展を遂げることができるでしょう。
基本機能
税理士向けの業務効率化ツールには、会計ソフトをはじめとした多様な機能が搭載されており、顧問先企業や税理士事務所の業務負担を軽減します。
ツールごとに得意分野や対応機能が異なるため、選定時には自社や顧問先のニーズに合わせた機能比較が重要です。
以下では、主要ツールの代表的な機能をご紹介します。
kintone
業務に合わせたアプリを自由に作成・運用できる高機能クラウドツール。
- アプリ作成機能:ドラッグ&ドロップで簡単に業務アプリを作成できます。プログラミング知識は不要です。
- データベース機能:顧客情報、案件情報、商品情報など、様々なデータを一元管理できます。
- ワークフロー機能:承認プロセスや進捗管理などを自動化し、業務効率を向上させます。
- コミュニケーション機能:アプリ上でコメントやメッセージをやり取りし、スムーズな情報共有を実現します。
- アクセス権限管理機能:ユーザーごとにアクセス権限を設定し、情報セキュリティを確保します。
ポイント
カスタマイズ性が非常に高く、業務フローに合わせた柔軟な設計が可能です。また、入力制限(フィールドロック)機能により、操作ミスや意図しない変更を防止できます。
一方で、機能が豊富な分、導入時の設計やその後の運用にはある程度のITスキルが必要です。組織体制によっては、継続運用に工夫が求められる場面もあるため、社内の運用ルール設計が鍵となります。
mykomon
会計事務所専用に設計された、統合型クラウド業務支援ツール。
- タスク管理機能:職員ごとの業務を一覧管理。優先度・進捗も可視化できます。
- カレンダー機能:チームで共有可能なスケジュールを管理。
- 文書共有機能:事務所内で文書を一元管理し、共有や閲覧が可能です。
- 顧問先配信機能:ニュースレターや連絡事項を一括で顧問先に配信できます。
- 相続・給与計算・年調機能:会計実務に役立つ付帯機能も多彩です。
ポイント
会員数が非常に多く、全国の会計事務所で広く利用されています。機能が豊富でありながら、多くの機能が基本料金内で利用できるのも魅力です。
操作画面はExcelに近いシンプルな設計となっており、初めて使う方でも馴染みやすい反面、一部の機能は他の専用ツール(例:Googleカレンダーなど)の方が直感的なケースもあるかもしれません。
全体として、一通りの業務を網羅的にカバーしたい事務所に適した構成となっています。
FLOW
工程単位での業務進捗管理に強みを持つ、ワークフロー特化型ツール。
- ワークフロー機能:業務の各ステップを視覚的に管理。担当者や期限を明確にします。
- 年間スケジュール生成:顧問先ごとの期日ベースでスケジュールを自動生成。
- タスク割当・進捗管理機能:タスク単位で進捗・担当者の可視化が可能です。
- レポート機能:工程別の業務量や進行状況を数値化してレポート出力できます。
ポイント
「誰が・いつ・何をやるか」を可視化し、業務の属人化を防ぎたい事務所に適しています。
Excelやmykomonでは難しい工程別・担当別のタスクの流れを整理しやすい設計になっており、製販分離などの分業体制をとっている事務所に特に向いています。
比較的シンプルな体制の事務所では、一部機能を使いこなすまでに慣れが必要な場合もあるかもしれません。
TKC(OMS)
TKC会員向けに提供されている、所内業務管理に特化したクラウドサービス。
- スケジュール管理機能:申告・決算等の期限を一元管理。
- 進捗管理機能:事務所全体の業務進行を可視化。
- 帳票出力機能:帳票類を自動生成し、ミスの防止に役立ちます。
- データ連携機能:TKCソフトと連携し、必要情報を自動で取り込みます。
ポイント
TKCの会計ソフトと強固に連携する設計により、入力や集計の手間を大幅に削減できます。
業務の見える化や進捗管理にも優れており、TKCユーザーにとっては一体感ある業務運用が可能です。
ただし、他社製ソフトとの連携は難しく、またカスタマイズ性に一定の制限があるため、自社独自の管理項目を追加したい場合は事前の確認が重要です。
Zooou
“何の業務をいつ行うべきか”を可視化し、自動でスケジュールを構成してくれる業務支援ツール。
- 業務自動生成機能:顧問先の決算月を登録するだけで、必要な年間業務を自動で作成。
- チェックリスト管理機能:タスクの進行状況をリスト形式で確認可能。
- 顧問先管理機能:顧問先ごとの業務進捗を一覧で把握。
- 納期アラート機能:期限が近づくと自動でアラートを出してくれます。
ポイント
業務スケジュールを自動で構成してくれる点が最大の特長。「いつ何をやるべきか」があらかじめ可視化されるため、抜け漏れ防止に役立ちます。
一方で、タスクの中間工程や担当者間の受け渡しなど、細かなプロセス管理にはやや向いていない側面もあるため、一人完結型や小規模組織での利用にフィットしやすい構成といえます。
これらの機能は各サービスの基本的な機能であり、これ以外にも様々な機能が提供されています。
サービス選定の際は、それぞれの機能を比較検討し、自社のニーズに合ったサービスを選択することが重要です。
選定ポイント
業務効率化ツール提供会社と提携する際の重要な選定ポイント5つは以下の通りです。
- 顧問先企業のニーズへの適合性
- ツールの操作性・機能性
- サポート体制の充実度
- セキュリティ対策
- 費用対効果
これらのポイントを踏まえ、貴事務所と顧問先企業にとって最適なツール提供会社を選び、提携関係を築きましょう。
まとめ
税理士が業務効率化ツール提供会社と提携することで、顧問先企業の多様なニーズに対応し、事務所の付加価値を高めることができます。
しかし、ツールによって機能、料金、サポート体制が異なるため、顧問先企業にとって最適な提携先を選ぶことが重要です。
本記事では、主要な業務効率化ツールの特徴と、特にどのような顧客に適しているかを比較しました。
比較表
一概に業務効率化ツールといっても、各社提供しているサービスが異なっています。
それぞれの得意・不得意を理解し、顧客にあったツールの導入を検討しましょう。
サービス名 | 得意な領域 | 顧客管理 | 業務アプリ作成 | 経理業務自動化 | 採用支援 | 情報共有 | セキュリティ対策 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
kintone | 業務アプリ作成、情報共有、ワークフロー | ○ | ○ | 連携で一部可能 | ✕ | ○ | ○ |
mykomon | 顧客管理、コミュニケーション | ○ | ○ | 連携で一部可能 | ✕ | ○ | ○ |
FLOW | 経理業務自動化、データ連携 | 連携で一部可能 | ○ | ○ | ✕ | ○ | ○ |
TKCクラウドサービス | 会計、税務、給与計算、人事労務 | ○ | ✕ | ○ | ✕ | ○ | ○ |
Zooou(ズー) | 税務業務の進行管理、タスク共有 | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ | タスク・進捗情報共有 | - |
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- 本比較表は当社独自の調査に基づいて作成しており、各サービスの実際の内容と異なる場合があります。最新の情報は各公式サイト等をご確認ください。
各サービスのページ
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ポイント | ノーコードで業務アプリを作成できるプラットフォーム。得意分野は顧客管理、案件管理、業務システム化など。 | 税理士事務所専用の顧客管理システム。顧客情報・スケジュール・タスク管理などに強み。 | AIを活用した経理業務の自動化クラウド。証憑の自動読取や仕訳、経営状況の可視化に対応。 | TKC全国会と連携したクラウドサービス。会計・税務・給与計算・人事労務を一括支援。 | 税理士事務所向け業務マネジメントツール。税務イベント管理、タスクの自動生成、進捗管理機能を備え、業務効率化と顧問先との情報共有を支援。 |
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