税理士の皆様が顧問先の中小企業から「従業員の定着」や「採用」に関する相談を受けることはありませんか?はぐくみ企業年金は、「お金の福利厚生」として中小企業に選ばれている企業年金制度です。
本記事では、税理士が顧問先企業にこの制度を提案する際に得られる具体的な「提携メリット」と、制度の魅力について詳しく解説します。
はぐくみ企業年金とは?
はぐくみ企業年金は、正式名称を「福祉はぐくみ企業年金基金」といい、厚生労働大臣の許可・認可のもと確定給付企業年金法に基づいて発足した企業年金基金です。2018年に保育や介護などの福祉業界の資産形成支援を目的として設立されましたが、現在では業種を問わず幅広い企業に普及が急拡大しています。
確定給付企業年金基金は通常、設立に300名以上の加入者が必要ですが、はぐくみ企業年金は複数の事業所が共同で実施する「総合型」という仕組みにより、単独で基金の設立が難しい中小企業でも利用できるのが特徴です。2024年4月時点で2260社以上が導入しており、2021年4月現在で従業員の平均加入率は65.2%という実績があります。
対象となる方
原則として、厚生年金の適用事業所であれば業種や業界を問わず導入可能です。70歳未満の厚生年金被保険者であれば、職種や雇用形態を問わず、パートやアルバイト、そして経営者や役員も加入対象となります。ただし、導入には別途定める加入要件を満たし、審査を通過する必要があります。例えば、債務超過企業、公序良俗に反する企業、就業規則などの規定がない企業、個人事業主などは対象外となる場合があります。
掛金設定と受け取りタイミング
掛金は月額最低1,000円から、最大で基本給または役員報酬の20%まで柔軟に設定可能です(上限は40万円)。なお、2024年8月1日より上限額が変更されました。
高齢期の資産形成を主な目的としますが、退職時、休職時、育児・介護休業時にも受け取ることが可能です。加入期間が1ヶ月以上あれば、積立額の全額を受け取れます。
はぐくみ企業年金の強み
- 会社側の実質的な負担抑制
- はぐくみ企業年金は、前払い退職金制度と併用することで、給与の一部を「選択給」として掛金の原資を創出できる「選択制確定給付企業年金」という仕組みを採用しています。従業員は給与としてすぐに受け取るか、将来の退職金として積み立てるかを選択できるため、会社側の掛金の実質的な負担を抑えることが期待できます。この仕組みは、法定福利費の軽減にも繋がる副次的な効果も期待できますが、これは選択制企業年金制度がもたらす効果であり、はぐくみ企業年金そのものが法定福利費の負担を軽減させるものではありません。
- 制度導入・運用の負担軽減
- はぐくみ企業年金の導入サポートは、加入促進事務業務を委託している株式会社ベター・プレイスが担当します。従業員への説明会も同社の専門スタッフが担当するため、顧問先企業の負担が軽減されます。事務上の手続きは必要ですが、Excelなどデータでの届出や、企業年金DXツール「はぐONE」を利用することで、効率的に行うことが可能です。
- 資産運用の専門知識は不要、会社側のリスクを下げる仕組み
- 加入者が積み立てた掛金の元本は保証される仕組みです。運用実績により不足が生じた場合は、事業主が補填することになっています。また、「キャッシュバランスプラン」を採用しているため、積立不足が発生しにくい制度であり、会社側のリスクも下げる仕組みが整っています。資産運用は、複数の国内大手生命保険会社などに委託されており、加入者自身が運用先や資産配分を決める必要がないため、金融知識に自信がない方でも安心して利用できます。
- 他の制度との併用可能性
- iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型確定拠出年金(企業型DC)、中小企業退職金共済制度(中退共)などとの併用が可能です。ただし、確定拠出年金と併用する場合、掛金限度額に影響がある可能性があるため注意が必要です。
提携メリット
税理士が顧問先企業にはぐくみ企業年金を提案する際の「提携メリット」は以下の3点が挙げられます。
- 顧問先企業の満足度向上
- はぐくみ企業年金は、「お金の福利厚生」として中小企業に選ばれている制度であり、福利厚生制度の充実を通じて、顧問先企業の従業員満足度向上に繋がることが期待されます。これにより、税理士は顧問先企業からの信頼と満足度を高めることができます。
- 新規顧客獲得のチャンス
- 税制上のメリットやコスト削減効果が期待できる魅力的な福利厚生制度を提案することで、税理士法人にとって新規顧客獲得の機会が広がります。特に「退職金制度」や「福利厚生制度」の充実は、採用力の強化や求人応募数の増加に繋がる可能性があり、新規顧客への強力な提案材料となり得ます。
- 顧問先企業の成長支援
- 従業員満足度が向上し、それにより定着率の向上や生産性の向上に繋がることで、顧問先企業の成長をサポートできます。ある施設では、はぐくみ企業年金の導入後に離職率が約4.5ポイント改善された事例もあります。顧問先企業の持続的な成長に貢献することで、税理士法人との長期的な関係構築にも繋がります。
こんな税理士・会計事務所におすすめ
はぐくみ企業年金の提携メリットを踏まえると、以下のような税理士・会計事務所におすすめできます。
- 顧問先企業の「従業員定着」や「採用」に関する課題解決を積極的に支援したい事務所。
- 顧問先企業の福利厚生制度の充実を通じて、顧問先企業の満足度や信頼をさらに高めたい事務所。
- 税制メリットやコスト削減効果を提案することで、新たな顧問先開拓に繋げたい事務所。
- 従業員の資産形成支援や、会社のリスクを抑えた制度導入に関心のある顧問先を持つ事務所。
- 制度導入・運用の負担軽減を重視し、専門家によるサポート体制が整っているサービスを求めている事務所。
まとめ
はぐくみ企業年金は、厚生労働大臣の認可を受けた確定給付企業年金であり、中小企業でも導入しやすい「総合型」の仕組みを持つ「お金の福利厚生」制度です。この制度は、会社側の実質的な掛金負担を抑え、元本保証や柔軟な受け取りタイミング、資産運用不要といった従業員メリットも豊富です。
税理士にとっては、この魅力的な制度を顧問先に提案することで、顧問先企業の満足度向上、新規顧客獲得のチャンス、そして顧問先企業の成長支援という三つの大きな「提携メリット」を享受できます。株式会社ベター・プレイスによる導入サポート体制も充実しており、税理士法人の新たな強みとなるでしょう。
企業情報
- 企業名
- 株式会社ベター・プレイス
- 所在地
- 東京都新宿区市谷本村町1-1 住友市ヶ谷ビル15F
- 設立
- 2011年10月17日
- 代表者
- 代表取締役社長 森本 新士、代表取締役COO 古市 成樹
- 事業内容
- 企業年金DXシステム「はぐONE」の提供、「福祉はぐくみ企業年金基金」企業年金・退職金制度導入設計・サポート、企業型確定拠出年金導入設計・サポート
- ※注
- 本文中の「選択制企業年金」がもたらす社会保険料等の軽減効果は副次的なものであり、その効果や将来の社会保障給付の減少の可能性については、制度加入前に企業・従業員への説明が実施されます。