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【鈴木税務経営事務所様】コード知識ゼロの税理士がClaude Codeで月次業務システムを自作!

 

専門知識がなくても、AIを活用すれば会計事務所の業務はここまで効率化できる。「紙や画像で届く資料の手入力をゼロにしたい」という強い思いから、Claude Codeを駆使して独自の資料処理・自動仕訳システムを作り上げた鈴木税務経営事務所。クラウド会計ソフトへ無理に移行せずとも、使い慣れた既存の会計ソフトのまま現場の生産性を高めるアプローチとその全貌について、TAX CONNECTIONの税理士・古尾谷が取材した。

「手入力をゼロにしたい」AI導入の第一歩

現在、何名体制で事務所を運営されていますか。

鈴木:私以外に5名のスタッフで運営しています。

鈴木先生はAIに対して、以前から関心を持って取り組まれていたんですか。

鈴木:いえ、実はそうでもないんです。きっかけは「顧問先から届く領収書・通帳・各種明細の手入力をゼロにする」という方向性を目指していたことでした。最初からCSVデータでいただければ一番良いのですが、当事務所はドクターのお客様なども多く、なかなかCSVで提供してくださらないのが現実です。

しかしGeminiが登場してからは、大半の資料をCSV化できるようになりました。CSVに変換さえしてしまえば、あとは会計システムに取り込んで自動処理させることができます。「とりあえずCSVにしてしまえばこちらの勝ちだ」というイメージで、できる限りCSV化することを目指して取り組んできました。

現在、会計ソフトは何をお使いですか。

鈴木:主にMJSと弥生会計のインストール型を使用しています。

そうなると、通帳やカードの明細などはCSVデータでいただくしかないですよね。ただ、紙でもらってもGeminiがCSV化してくれるわけですね。

鈴木:はい。例えばレシートを動画で撮影してGeminiにアップロードすると、そのままデータ化してくれるといった形です。しかし、Geminiもたまに処理を間違えるため、人間が目視で確認して修正する作業が必要でした。その課題を解決するために開発したのが、自作のAI自動化システムです。現在は顧問先からの資料を読み込ませるだけで、整理・保存・仕訳作成までの一連の業務を一気に省力化しています。

そのシステムは、AIを使用して構築されたのですか。

鈴木:はい。Claude Codeでプログラムを組んだシステムを、Google Workspace上で運用しています。Google Workspaceの「ここに投入してください」というフォルダに資料を投入すると、システムが各種資料の振り分けを行った上で月ごとに自動分配し、通帳データであれば通帳用のフォルダ、現金の領収書やカード明細ならそれぞれの専用フォルダへ送ってくれ、人間が確認する用のシートを作成してくれます。

例えばこのPDFを投入フォルダに入れるだけで、自動的にスプレッドシートへ変換される仕組みです。当事務所側で資料を入れても良いですし、お客様に直接入れていただくことも可能です。(図1参照)

図1:AI自動化システムによるフォルダ階層と構成

図1:AI自動化システムによるフォルダ階層と構成(出典:鈴木税務経営事務所)

Claude Codeで構築した月次業務システム

資料を投入するだけで、ここまでの処理が完了してしまうのですか?

鈴木:基本的にはPC内にあるPythonのプログラムが動いて処理してくれます。工程としては、まず投入された会計資料のPDFや写真を月別・種類別(通帳、カード明細、現金など)にフォルダ分けします。次に、振り分けられたフォルダにPDFが届くとスプレッドシートに変換され、それを仕訳データにするための「確認シート」を作成する工程へと進みます。その確認シートに人間が勘定科目などを入力し、間違いがないか確認できたらOKを出し、最後に仕訳データが作成されるという流れです。(図2参照)

図2:仕訳データ作成フロー(01 資料の投入、02 資料の振分け、03 スプレッドシート変換、04 確認シート作成、05 確認・入力、06 仕訳データ作成)

図2:仕訳データ作成フロー

勘定科目は自動で入らないのでしょうか?

鈴木:自動で入るものもありますが、シートの列にある「覚えるボタン」を押せば仕訳辞書機能で覚えてくれます。複合仕訳にも対応しており、毎月出てくる複合仕訳(税理士報酬や元利1本の借入返済など)も、摘要や金額で判定して自動仕訳してくれます。覚えた仕訳は次回から色なしで提示され、「初めて見る取引」は色付けしてくれるので、人は色がついている部分を中心に出力されたシートを確認修正していきます。(図3参照)

図3:確認シート画面

図3:確認シート画面(出典:鈴木税務経営事務所)

登録された処理は、次回以降は自動的に同じ勘定科目へ割り振られるのですね。

鈴木:一度学習させれば次回からは自動処理されますが、未学習の場合でもAIが推測して大体の科目を提案してくれます。

ただ、私としてはAIの提案機能に頼りすぎると処理が安定しないと考えているので、基本的には全て人間が登録し学習させるという運用イメージを持っています。

投入フォルダに投入するものは、証憑書類に関するあらゆるデータで良いのでしょうか。

鈴木:PDFはもちろん、Excel、JPEG、CSV、APIなどでも対応可能です。整理せずにまとめて投入しても問題ありません。10枚あれば10枚そのままポンと投げ込んでおけば、自動で判別・処理をしてくれます。

通帳のコピーなどを投入するだけで、先ほどの仕訳確認シートまで自動でたどり着けるのですね。

鈴木:そうですね。手作業で確認して残高を合わせるような作業も必要ありません。ただ、読み取りが苦手な種類の通帳なども一部存在するためすべての書類で100%完璧とはいきませんが、大半の資料は数字がピタッと合った状態で出力されます。

通帳だけでなく、現金で支払った領収書、経費精算、売上や仕入れの請求書なども同様ですか?

鈴木:仕入れや売上の請求書については、仕訳データにする前段階の精度がまだ完全に整いきっていない部分もありますが、概ね同様の処理が可能です。また、領収書の中でも、手書きのものは少し苦手な部分はありますし、そもそも領収書自体に不備があったりするので、やはり人間の目は必要です。

そこまで自動化できれば、あとは人間の目でチェックし、未設定の科目を設定するだけで、会計ソフトに取り込める状態になるわけですね。

鈴木:はい。弥生会計であれば弥生のフォーマットで、MJSであればMJSのフォーマットで出力してくれます。作業者が科目を確認・修正してシステムに学習させ、確認OKを出すことで次回以降も自動反映されますし、複合仕訳の登録も確認シート上で行うことでどんどん学習していってくれます。(図4参照)

図4:修正、登録していく際の仕訳辞書登録画面

図4:修正、登録していく際の仕訳辞書登録画面(出典:鈴木税務経営事務所)

非エンジニアでもシステムが作れる時代へ

エンジニアではない鈴木先生がお一人で、Claude Codeを活用してここまでの仕組みを作り上げたというのは本当に素晴らしいですね。

鈴木:自分でもびっくりしています。誰でも簡単に作れるとは言い切れませんが、プログラマーやエンジニアでなければ不可能だったことが、専門知識のない普通の人でも作れる時代になったというのは、ものすごい変化だと感じます。

このシステムを構築するのに、どれくらいの期間がかかったのでしょうか?

鈴木:プログラミングの知識もない完全にゼロからのスタートで、Claude Codeに初めて触ったのが5月中旬頃でした。そこから試行錯誤を重ねて、7月初旬にはスタッフに使ってもらい始めました。最初は不具合がたくさんあり、その修正作業に1ヶ月ほど費やして、8月頃にようやく落ち着いてきたところです。

現場の反応はいかがでしたか?

鈴木:最初は戸惑いもあったと思いますが、「もうやるしかないから使ってみて」という形でスタートしました。

実際に使ってみて、スタッフの皆さんも効果を感じられているのではないでしょうか。

鈴木:正式なアンケートを取ったわけではありませんが、受け入れて使ってくれています(笑)。

実感として、業務時間は大幅に短縮されましたか?

鈴木:実は、現時点ではまだ大幅な時間短縮には至っていません。1周目はシステムに科目を登録・学習させる作業が大量に発生するためです。

初期設定や学習フェーズが大変なのですね。

鈴木:はい。最初は導入の負荷がどうしてもかかってしまいます。ただ、一度学習させてしまえば、来月か再来月には、確実に作業は軽くなっていくはずです。

既存ソフト×AIで実現するこれからの会計実務

まだAIを業務に導入できていない先生方に向けて、専門知識がなくてもClaude Codeを活用して業務効率化ができるというメッセージをいただけますでしょうか。

鈴木:当事務所では「顧問先にCSVでデータを出してほしいと言えない」「昔ながらの紙で資料をもらうしかない」という状況で、これまでは手入力するしか選択肢がありませんでした。同じような悩みを抱えている会計事務所様は非常に多いと感じています。Geminiの登場により資料の読み取りが可能になりましたが、単体での運用にはまだ手間がかかります。そこでClaude Codeなどを活用し、資料をそのまま投入すれば自動で振り分けを行い、仕訳の直前処理まで進めてくれる仕組みを作れれば、業務は非常に楽になります。一見難しそうに見えますが、「PDFをCSV化する」「写真をCSV化する」といったように、入り口の処理を細かく分けて構築していけば、専門知識がなくても決して作成不可能なものではありません。

新たにクラウド会計ソフトを導入しなくても、使い慣れているインストール型会計ソフトを活用したまま、AIを組み合わせて効率化できるというのは大きな気づきですね。

鈴木:MJSでも弥生会計でも、結局のところ「データを取り込むまでの工程」がボトルネックになっているだけだと思うんです。クラウド会計であっても、最終的にデータ連携や取り込みのボタンを押す作業は人間が行いますから、そこはインストール型のソフトでも変わりません。この仕組みさえできてしまえば、使用している会計ソフトが何であれ問題なく運用できます。会計ソフトに取り込んだ後の細かい仕訳の判断や職人技のような部分は人間に残りますが、それはクラウド会計を導入していても同じことです。

私のイメージしているのは、「2〜3年の実務経験があるスタッフが、ひと通り入力してくれた状態」までを、いかに省エネで実現するかという点です。現在のシステムで、そのレベルには到達できていると感じています。完璧な仕訳を作ることはできませんが、それは人間であってもAIであっても違いはないと思います。

AIに丸投げするのではなく、最終的な判断は人間が行うということですね。

鈴木:そうですね。考え方として、AIに仕訳の判断を丸投げしているわけではなく、「人間が登録したルール通りにAIに作業してもらっている」だけなんです。

今後、さらにシステムの精度は上がっていくのでしょうか?

鈴木:はい。数字や文字認識の精度は、AI渋滞の問題もありますが、今のAIのモデルを、別のモデルにするだけでも精度向上は見込めます。ただ、今後は別のアプローチでも精度向上させていきたいとも考えています。

一方で、その先の「どの勘定科目に割り振るか」という仕訳の精度に関しては、人間がシステムに学習させている部分ですので、AI任せにはしていません。つまり、現場の人間が正しく学習させればさせるほど、精度はどんどん上がっていく仕組みになっています。

現在は「クラウド会計至上主義」のような風潮もありますが、データ連携さえスムーズにできれば、操作性や処理速度の面で既存のインストール型ソフトの方が使いやすい場面も多々あります。

インストール型の良さを活かしたAI自動化は、多くの会計事務所にとって現実的で価値ある手法ですね。本日はありがとうございました。

プロフィール

鈴木 昌道 様 鈴木税務経営事務所 代表税理士
愛知銀行や大手税理士法人などを経て、2010年に名古屋商科大学大学院(MBA)を早期修了。2011年に税理士登録し開業。「知識がないことで不幸になる人を減らしたい」という思いのもと、節税のみならず相談者の安心やトータルでの幸せに寄り添うパートナーとして支援を行う。コード知識ゼロから、既存の会計ソフト・システムを変更せず、月次業務をAIを最大限活かして自動化スキームを自社開発・運用中。

引用について

本記事は出典を明記のうえ引用できます。 出典:タックスコネクション 全国の税理士・会計事務所のポータルサイト(2026-11-02)